2018 年 30 巻 174 号 p. J25-J30
スフィンゴ糖脂質は細胞膜において均一には存在せず、スフィンゴミエリンおよびコレステロールと共に糖脂質マイクロドメインと呼ばれる微小ドメインを形成している。そこにはシグナル伝達分子が多く集まり、糖脂質組成がシグナル伝達効率に大きく影響する。それゆえ糖脂質の挙動と構造を解析することは、生命現象を理解する上で非常に重要である。最近の糖脂質マイクロドメイン研究では、生化学的手法と併せて、蛍光顕微鏡による膜分子動態解析、電子顕微鏡を用いた局在解析、ならびに質量分析による脂質構造解析が行われている。本稿では主に、蛍光顕微鏡と質量分析装置を用いた糖脂質マイクロドメイン解析法について紹介する。