Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本糖質学会奨励賞受賞者論文、日本糖質学会編集論文)(日本語)
DTBS基保護がもたらす立体選択的グリコシル化反応
今村 彰宏
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2018 年 30 巻 174 号 p. J65-J76

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抄録

糖化学の分野では、これまでに多くの有用な立体選択的グリコシル化反応が開発されてきた。中でも、ここ十数年の間に、ユニークな立体選択的グリコシル化反応が相次いで報告された。その特徴は、環状シリル系保護基の一つであるdi-tert-butylsilylene(DTBS)基によって糖環構造の柔軟性が制約された糖供与体を用いる点にある。これまでに、DTBS基で保護された供与体を用いることで、α-ガラクトシド/ガラクトサミニド、β-アラビノフラノシド、α-シアロシド、α-ガラクトフラノシド、β-グルクロニド、β-グルコシド、β-マンノシド、α-Kdoグリコシド、α-グルコシドの立体選択的合成が達成されている。また、糖環構造の柔軟性を制約することが、グリコシル化反応成績物の立体化学に影響を与えるという知見は、グリコシル化の反応機構を理解する上で新たな見識をもたらした。本総説では、DTBS架橋した糖供与体による立体選択的グリコシル化反応の歴史的概観、およびこれらの反応を応用した生体関連糖鎖の合成について紹介する。

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© 2018 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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