2018 年 30 巻 176 号 p. J131-J136
細胞の生存には、細胞膜を横切り、細胞の外側から物質を取り込む過程が必須である。受容体介在型エンドサイトーシスは、栄養成分やビタミンの取り込みと、それに続く分解やプロセシングに重要な役割を果たす。メガリンは多様なリガンドを取り込むエンドサイトーシス受容体であり、細胞表面で低分子量タンパク質を吸収する。メガリンは600 kDaにも及ぶ一回膜貫通型の糖タンパク質である。メガリンはN末端側に巨大な細胞外領域を有し、そこには4つのリガンド結合領域が含まれている。メガリンは機能的にも構造的にも異なるタンパク質(ビタミン結合タンパク質、キャリアータンパク質、ホルモンなど)や薬物(アミノグリコシド系抗生物質など)をリガンドとする。このようなリガンドの取り込みを通じて、メガリンは生理的な機能を調節している。メガリンは高度に糖鎖付加され、その構造も質量分析などにより明らかにされているが、メガリン上の糖鎖機能については、ほとんど知られてこなかった。本ミニレビューでは、生理的、病理的条件下でのメガリンによるエンドサイトーシスの機能とメガリンのリガンド結合活性に及ぼす糖鎖の影響について紹介する。