2019 年 31 巻 181 号 p. SJ63-SJ64
O-マンノース(Man)型糖鎖の異常は先天性筋ジストロフィー症の原因となる。この発見を端緒に数多くの研究が行われ、O-Man型糖鎖の多様な構造が明らかになってきた。しかし、筋ジストロフィー症に直接関与する糖鎖構造については長い間不明であった。最近我々は発症に関わるO-Man型糖鎖の完全な構造を明らかにすることに成功した。その糖鎖は哺乳類ではこれまで見つかったことがないリビトールリン酸(RboP)を含む新しい構造であった。さらに、機能不明の筋ジストロフィー症原因遺伝子産物がRboPの転移酵素であることを同定したことで、この糖鎖の独特な生合成機構が明らかになった。ようやく全容が明らかになったO-Man型糖鎖の構造と生合成機構について、我々の最近の知見を中心に紹介する。