2019 年 75 巻 2 号 p. I_599-I_604
Manilaの北150kmに位置するLingayen湾は,南シナ海に面した細長い湾であるために,波が大きく斜め入射し(High-angle wave),一方向沿岸漂砂が卓越している.このような海岸に集落が並ぶために,集落ごとに突堤群による侵食対策が行われてきた.しかし,突堤設置により沿岸漂砂の場所的不均衡が助長され,各突堤の下手側では新たな侵食問題が発生するというジレンマに陥っている.本研究では,Lingayen湾沿岸のうちBalili川~Aringay川間の凹状海岸線を対象に,この区間に造られた突堤群周辺での汀線変化について衛星画像を用いて調べるとともに,2018年2月23日には現地踏査を行い,この区域における今後の侵食対策について考察した.