Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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グリコサミノグリカンの異化代謝異常による遺伝性疾患
山田 修平 水本 秀二
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2020 年 32 巻 188 号 p. J105-J110

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抄録

コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロナンなどのグリコサミノグリカン(GAG)は、動物の細胞表面や細胞外マトリックスに普遍的に存在し、細胞接着、細胞のシグナル伝達の調節、細胞外マトリックスの構築など、多様な生命現象に関与している。大部分のGAGは、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれ、エンドソームからリソソームに存在するエンド型およびエキソ型酵素によって、単糖単位にまで分解される。一部のGAGは、細胞外でも分解され、GAGの機能調節に関与すると考えられている。エキソ型GAG分解酵素の異常により、ムコ多糖症が引き起こされる。エンド型GAG分解酵素遺伝子の変異と幾つかの遺伝病との相関が推定されているが、詳細な発症機構に関しては、まだ謎が多い。ムコ多糖症は他のGAG関連遺伝性疾患に比べて発症頻度も高く、古くから知られている病気であり、治療法もある程度定まっている。しかし、効果的な治療のためには、解決すべき数々の問題が残されている。本総説では、GAGの異化代謝異常によって引き起こされる遺伝性疾患を、糖鎖生物学的見地から概説する。

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© 2020 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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