2020 年 32 巻 188 号 p. J99-J104
真菌は最外層に細胞壁が存在する。真菌細胞壁は主として多糖から構成されており、真菌の増殖および形態形成などの役割を有する真菌生存に必須な構造体である。さらに、これら細胞壁多糖は真菌特異的に発現する分子パターンであるため、副作用の少ない抗真菌剤開発における標的分子である。しかしながら、真菌細胞壁がどのような生合成経路あるいは機構により構築されるのか不明な点が多いことが抗真菌剤開発における障壁となっている。本総説では、真菌細胞壁多糖のなかでもコア構造を担う6分岐β-(1,3)-glucan生合成に焦点を当て紹介する。