Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
コンドロイチン硫酸受容体を介した神経機能制御機構—細胞外シグナル分子としてのコンドロイチン硫酸鎖—
三上 雅久 北川 裕之
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2021 年 33 巻 191 号 p. J11-J16

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抄録

コンドロイチン硫酸(CS)鎖は、硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)多糖の1つであり、細胞外マトリックスや細胞周囲に普遍的に分布する微小環境調節因子として神経系の発達や再生に関与する。興味深いことにCS鎖は、神経突起の伸長を促進する働きを示す一方で、抑制的に機能する一面も併せもつ。このようなCS鎖による双方向性の機能発現は、CS鎖が生合成過程で獲得する硫酸化構造の多様性に起因する。CS鎖は、補受容体もしくはリザーバーとして、液性因子の作用を間接的に調節する微小環境因子であると長らく捉えられてきた。しかし、最近になってCS鎖の硫酸化構造を認識する受容体分子が次々と同定され、CS鎖が細胞外シグナル分子として、細胞膜受容体を介した細胞応答を直接的に制御しうることが明らかになってきた。多様なCS受容体の存在は、神経系におけるCS鎖の多能性を担保する重要な分子基盤である。

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© 2021 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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