論文ID: 2306
本研究は,後説明効果の生起を検証した。存在が曖昧なものが実際に存在しているという認識(実在性認知)に焦点を当て,説明が説明対象に関する認知に及ぼす再帰的な影響を検証した。加えて,後説明効果の大きさに関わると考えられる変数を明らかにするため,説明に対する自己評価を高く感じるほど,説明対象の実在性認知が高まるという仮説についても検証した。二つの研究において,参加者は,新奇な商品の使用目的や開発の経緯を想像した上で説明し,説明の前後でその商品の実在性を評定した。分析の結果,研究1では,立方体のサッカーボールについて説明した参加者は,説明の前より後で,その実在性を高く評定したことが明らかになった。また,研究2では,説明に対する自己評価のうち,説明内容のもっともらしさが,実在性認知の上昇と関連することが明らかになった。本研究で得られた結果から,後説明効果の生起の背後に想定される認知過程について考察した。