Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー(日本語)
腫瘍関連抗原をターゲットとした癌免疫療法の戦略的アプローチ
松本 康之
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2021 年 33 巻 192 号 p. J33-J38

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抄録

癌化プロセスにおいて、細胞膜表面に発現するユニークな糖鎖構造は「腫瘍関連糖鎖抗原」と定義されており、様々な癌の悪性形質に寄与していることが報告されている。代表的な腫瘍関連糖鎖抗原の1つであるTn抗原は様々な癌組織で広範に検出されることから、癌の診断マーカーや分子標的治療薬として有望視されている。これまでに、様々なTn抗原に対する抗体療法およびワクチン療法が開発されてきたが、十分な治療効果が得られていない。本稿では、Tn抗体作製から得られた知見、Tn抗体を用いた癌免疫治療法(抗体治療、CAR-T細胞療法、抗体–薬物複合体)の進捗状況について、腫瘍微小環境を踏まえて議論する。

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© 2021 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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