2021 年 33 巻 193 号 p. J55-J62
N型糖鎖は小胞体におけるタンパク質の品質管理機構において中心的な役割を果たす。まずN型糖鎖のグルコースを含んだ構造が、レクチンシャペロンに認識され、糖タンパク質の構造形成が促進される。糖タンパク質の構造形成が出来ない場合、N型糖鎖のマンノースのトリミングが進む。するとレクチン分解因子に認識されるようになり、小胞体から細胞質へ逆行輸送され、プロテアソームによる分解へと導かれる。この機構は、酵母から哺乳動物まで保存されているが、進化の過程において遺伝子が多岐化したこともあって、高等動物では、その様式が複雑化している点もある。本ミニレビューでは、糖鎖依存分解経路における酵母と哺乳動物のN型糖鎖のマンノースのトリミング機構とレクチン分解因子に主に着目し、その研究の歴史と最新の知見を紹介する。