Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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受容体型チロシンキナーゼの部位特異的N型糖鎖解析
高橋 素子 藤谷 直樹上原 康昭長谷川 喜弘
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2023 年 35 巻 206 号 p. J57-J61

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抄録

受容体型チロシンキナーゼは創薬の重要なターゲットであり、その機能制御メカニズムを明らかにすることは大きな課題である。多くの受容体型チロシンキナーゼは糖鎖による機能制御を受けており、糖鎖は細胞内シグナルに深く関与している。ErbB受容体ファミリー、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリー、肝細胞増殖因子受容体(MET)などの部位特異的N型糖鎖解析によって、各受容体におけるN型糖鎖の役割が少しずつ明らかになってきた。異なる宿主細胞を用いても、部位別のN型糖鎖付加率やN型糖鎖構造はある程度決まっていることから、それらを決定する機構が存在することが示唆された。複数の受容体に対して部位特異的N型糖鎖解析を行うことによって、糖鎖によるシグナル制御メカニズムのみならず、糖鎖の生合成メカニズムの解明に寄与する可能性がある。

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© 2023 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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