2024 年 36 巻 209 号 p. J1-J5
糖脂質であるグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)は150種以上のタンパク質のC末端に結合し細胞表面に繋ぎ止めるはたらきをしている。その生合成には30遺伝子が関与しており、それらの遺伝的な変異により知的障害、運動発達の遅れ、てんかんなど神経症状を主症状とする先天性GPI欠損症を発症する。一方後天性のGPI欠損症として造血幹細胞のPIGA遺伝子の突然変異を原因とし、補体の活性化による溶血発作を主症状とする発作性夜間ヘモグロビン尿症が知られている。最近まれではあるが、PIGT、PIGB、PIGVの変異を原因とするPNHが見つかっており、特徴的な症状を示す。GPIアンカーの生合成とこれら欠損症について最近の知見を述べる。