2025 年 37 巻 215 号 p. J1-J5
糖鎖の機能と重要性が明らかになるにつれて、疾患診断や医薬品における糖鎖利用への関心が近年高まっている。糖鎖の機能を利用するためには、糖鎖密度を高めて糖鎖結合分子への親和性を増強させる「糖鎖クラスター効果」が有効である。これまでに、疾患診断薬や医薬品としての応用を目指した糖鎖クラスター構造を有するさまざまな糖鎖ナノ材料が開発されている。その中でも、タンパク質と同程度のサイズの金属ナノ粒子は、糖鎖を高密度に固定化することができ、その機能を発現させるうえで魅力的なコア材料である。本稿では、糖鎖固定化ナノ粒子の調製法と医療応用について概説する。