2025 年 37 巻 219 号 p. J41-J46
近年、O結合型糖鎖の重要性が認識され、O結合型糖ペプチドの解析が盛んに行われている。O結合型糖ペプチドの解析は、N結合型糖ペプチドの解析に比べて進んでいない。というのも、質量分析計の通常のタンデム質量(MS/MS)測定では、O結合型糖鎖は容易にペプチドから脱離して糖鎖の結合部位情報が損失してしまうので、糖鎖結合部位の同定が難しい。この問題を解決するべく糖鎖を脱離せずにペプチド鎖だけをフラグメント化させるMS/MS測定(電子移動解離(ETD)など)が開発されている。本ミニレビューでは、O結合型糖ペプチドの解析の課題を紹介して、今後のO結合型糖ペプチドの解析の展望を述べる。