抄録
様々な分子ライブラリーを用いて迅速にスクリーニングできる分子認識工学の時代がきている。ここでは分子認識工学の一手法としてバイオコンビケムを位置づけている。そのバイオコンビケムとしてファージディスプレイライブラリーは、目的の分子または組織との親和性に基づくスクリーニングの代表的な手法である。抗原タンパク質のエピトープの決定にファージペプチドライブラリーによるパニングが有効な手段として使われてきた。我々はこの手法を導入して糖鎖認識抗体を用いて糖鎖構造を模倣するペプチドの作成を進めてきた。本法で得たペプチドはそれぞれの抗原糖鎖のもつ機能を代替えすることが明らかとなった。このような実験事実から、我々はこれらのペプチドを「糖鎖レプリカペプチド」と呼んでいる。このレビューでは糖鎖レプリカペプチドの作成と、得られたペプチドがもつ機能についての解析を中心に紹介する。