糖質はヒトの生命維持に不可欠であり、常に十分な量を確保する目的から、糖質関連酵素の研究は歴史が長く、その情報量は膨大である。また、これらの酵素について工業的利用の立場に立った研究も多く成されている。α-アミラーゼやサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase)といった糖化産業の根幹を成す実用酵素は、酵素の機能改変といった基礎的研究の対象としても興味深い材料である。本レビューでは、工業用酵素として広く使用されているα-アミラーゼにCGTaseの持つ生デンプン吸着能および分解能を導入した一成功例を紹介するとともに、ドメインレベルにおける酵素の構造と機能の相関について議論する。