Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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動物細胞における糖鎖構造制御
Kazuhiro FukutaMineko AsanagiTadashi Makino
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2001 年 13 巻 72 号 p. 395-405

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抄録
細胞内における糖鎖の生合成は、糖鎖生合成酵素群による逐次反応であることから、生成物である糖鎖の構造は一様でなく、糖鎖成熟途上の色々な段階のものを含む混合物となる。動物細胞を宿主としてつくった組換え糖タンパク質の糖鎖もやはり不均一で、特定の糖鎖構造を有する糖タンパク質を均一性高くつくる技術の確立が望まれる。このため、我々は動物細胞を用いて糖タンパク質の糖鎖構造を制御することに取り組んで来た。ここでは、インターフェロン-γ (IFN-γ) を用いて複合型糖鎖の分岐構造を改変した例と、イムノグロプリンM (IgM) を用いてバイセクティングGlcNAcの付加を制御した例を中心に我々の研究を紹介する。IFN-γをモデルとした研究では、宿主細胞としてチャイニーズハムスター卵巣細胞を用い、N-アセチルグルコサミン転移酵素IVおよびVの遺伝子を高発現させることによって、IFN-γの糖鎖を多分岐化させることができた。IgMを用いた研究では、B細胞内のβ1, 4-ガラクトース転移酵素とN-アセチルグルコサミン転移酵素IIIの活性バランスを調節することにより、IgMの糖鎖に対するバイセクティングGlcNAcの付加を制御できた。糖鎖生合成酵素群の発現制御により、糖鎖構造をかなり有効に制御できるようである。
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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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