Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
馬鈴薯澱粉由来リン酸化オリゴ糖の生産と応用
Hiroshi KamasakaDaisuke InabaKentaro MinamiTakahisa NishimuraTakashi KurikiMasami Yonemitsu
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 15 巻 82 号 p. 75-89

詳細
抄録

私たちは、馬鈴薯澱粉の加水分解物から、新しい機能性食品素材であるリン酸化オリゴ糖を開発した。このリン酸化オリゴ糖は2つの画分PO-1画分およびPO-2画分から構成されていた。PO-1画分はリン酸化オリゴ糖の主な成分であって、マルトトライオース、マルトテトラオース、およびマルトペンタオースから構成されており、分子内に1個のリン酸基を有していた。PO-2画分は主にマルトペンタオースおよびマルトヘキサオースから構成されており、少なくとも2個のリン酸基を分子内に有していた。リン酸化オリゴ糖はカルシウムと水溶性の複合体を形成し、カルシウム-リン酸の沈殿形成を阻害する効果を有していた。また、その効果は、PO-2画分がPO-1画分よりも強かった。以上の結果をもとに両画分を含むリン酸化オリゴ糖の食品素材としての用途を開発した。まず、リン酸化オリゴ糖のカルシウム塩(POs-Ca)は、水溶性カルシウム供給のための食品素材として優れていることを明らかにした。う蝕予防の観点から、リン酸化オリゴ糖がう蝕原因細菌であるミュータンス連鎖球菌の栄養源にならず、本菌の産生する酸によるプラーク内のpHの低下も抑制する作用を有していることを明らかにした。さらに、POs-Caは初期う蝕を誘発したエナメル質や象牙質の再石灰化を効果的に促進する作用も有していることがわかった。

著者関連情報
© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
前の記事 次の記事
feedback
Top