Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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がんとシアリダーゼ異常
Taeko MiyagiKengo KatoSeiji UenoTadashi Wada
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2004 年 16 巻 92 号 p. 371-381

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抄録

細胞ががん化すると、細胞表層シアル酸量が変化する。このシアル酸変化は、がん細胞の悪性形質と深く関わっていると考えられている。この変化の機構と意義を明らかにすることを目的として、糖タンパクや糖脂質の非還元末端からシアル酸を除去するシアリダーゼに着目して、研究を行ってきた。哺乳動物細胞には現在まで4種のシアリダーゼが同定されているが、それらはがん化でそれぞれ異なった挙動を取ることがわかってきた。主にリソソームに局在するシアリダーゼの活性とmRNAのレベルはがん化で減少し、細胞膜に局在するシアリダーゼの場合は逆に上昇している。前者は足場非依存性や転移能に影響し、この遺伝子の導入によって、これらの形質は対照細胞の方向へ戻っている。一方、後者のシアリダーゼについては発現亢進ががん細胞のアポトーシスを抑制し、siRNAの導入によってアポトーシスが促進される。本稿ではこれまで明らかになったがんにおけるシアリダーゼの変化と意義について紹介したい。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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