Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ベロトキシンとスフィンゴ糖脂質との相互作用
M. MaloneyC.A. Lingwood久保 英夫
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1993 年 5 巻 21 号 p. 23-31

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抄録
出血性大腸炎や溶血性尿毒症の主な原因である、腸内出血性大腸菌のベロトキシンは、サブユニットから成る毒素である。そのBサブユニットは、細胞表面のグロボ系糖脂質に結合し、その結果、菌の感染スペクトラムを決定する。ベロトキシンの結合には、末端Galα1-4Gal残基が必要である。その脂質部分の構造を変えることにより、ベロトキシンの結合性に変化が認められ、化学的に修飾することで、糖鎖内部のGalα1-4Galをも、ある種の条件下で認識可能となることが、実験的に示されている。従って、その認識する糖鎖の立体配置には、一定の柔軟性が認められよう。ベロトキシン遺伝子の特定部位に突然変異を誘発することによる構造研究、アミノ酸残基の化学修飾、及び結晶構造の解析により、その糖脂質性受容体への結合に必須のアミノ酸が同定されている。それと同様のアミノ酸配列が、哺乳類の細胞の膜タンパク質にも見出されていることから、そのようなタンパク質は糖脂質結合性という機能を有することが示唆される。このようにベロトキシンは、細胞生理学の研究の有用なプローブ足りうるであろう。
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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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