2021 年 2 巻 1 号 p. 10-17
盤双六は,中国においても日本においても古くからある盤上遊戯であるが,その遊戯ルールは中国と日本では違いが見られ,日本においても古代と近世では違いが見られることがわかっている。また,中国の盤双六に関する最古の古文書『譜雙』によれば,古代中国において様々なルールの盤双六の存在したこともわかっている。盤双六の遊戯ルールを記述する古文書は非常に少なく,その明確な遊戯ルールを導くことは,現状では困難な状況である。本論文では,これまでに解読がなされていない17 世紀の中国で編纂された『三才図会』の盤面図を解読することで遊戯ルールについての検討を加えた。その結果,当時の双六盤は片側10 列のマスを持つことが明らかとなった。これを遊戯ルールの時代変遷の結果とみるか,ルールのローカル化とみるかは今後の検討課題である。