抄録
カラマツを植栽した岩手県内の再造林地において,毎年下刈り(4 年目まで),隔年下刈り(1・3 年目,2・4 年目),無下刈りの4通りの下刈りスケジュール間で植栽から5生育期間の植栽木の生存と成長,植栽木と周囲の植生との競合の状況を比較し,下刈り回数削減の可能性について考察した。植栽後5生育期間経過時のカラマツ植栽木の樹高および地際直径は,下刈り回数が少ないほど小さくなった。カラマツ植栽木個体が前年の生育期間終了時に競合植生に覆われていた場合は,樹冠が半分以上露出していた場合と比較して樹高成長が著しく低下し,測定年によっては,樹冠が競合植生から一部出ていても,樹高成長に低下が見られた。一方,カラマツ植栽木の生存率には,下刈り回数との間に一貫した関係は認められず,競合植生の種組成の局所的な違いにより,下刈りを省略した場合のカラマツ植栽木の生存過程が異なっていた可能性が考えられた。本研究の結果から,カラマツにおいては,隔年下刈りを行うと成長が顕著に低下しうることが示された。