東北森林科学会誌
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最新号
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論文
  • 阿部 俊夫, 岡本 隆, 篠宮 佳樹
    原稿種別: 論文
    2020 年 25 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー
    森林の濁水ろ過機能を明らかにするため,2014~2016年に岩手大学御明神演習林内の落葉広葉樹林とスギ林で濁水ろ過実験をおこなった。長さ 2.0m×幅 0.3mの実験水路に濃度4739mg/kgのカオリン懸濁水を毎分 10kg強の流量で 5回に分けて1055kg流下させ,下端より流出する濁水量を調べた。水路は林分ごとに 2本製作し 9月から翌年 7月に 1水路あたり 4度の実験をおこなった。流出阻止率 (除去されたカオリン/全カオリン) は最初の実験では89~96%と高かったが,実験を繰り返すと徐々に低下した。堆積リター量を増やして実験しても結果は同様であった。 実験後の水路ではA0~A層境界付近にカオリンが多く滞留し浸透能も低下していた。ただし,翌春に阻止率が1.6~6.0%回復しており,①新たに供給された落葉リターのフィルター機能向上,②融雪水による林床の透水性回復などが理由として考えられた。また,濁水ろ過速度は表面流出量から算出した“見かけの浸透能”の関数で近似できた。濁水ろ過はA0層による表面流のろ過と土層への浸透によることから,土層浸透で説明可能な値より高い分はA0層の効果と考えられた。
報文
  • 阿部 俊夫, 岡本 隆, 篠宮 佳樹
    原稿種別: 報文
    2020 年 25 巻 1 号 p. 10-13
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー
    濁水供給 (懸濁物質負荷) が林床の浸透能に与える影響を明らかにするため野外実験をおこなった。森林総合研究所東北支所構内の隣接するミズナラ林とスギ林にステンレス製円筒枠を各 5点設置し,浸透能を計測した後,懸濁物質としてカオリンクレー5.0gを含む濁水を注入した。この操作を浸透能が大きく変化しなくなるまで繰り返した。実験 終了から 4ヵ月半後,9ヵ月後の浸透能も計測した。基本的に浸透能は懸濁物質負荷量が増えるほど低下しており,懸濁物質による表層土壌の目詰まりが原因と考えられた。降雨があると浸透能がわずかに回復する傾向も認められた。実験終了から 9ヵ月後でも浸透能は十分には回復しなかった。ミズナラ林はスギ林より実験開始時の浸透能が高かったが,濁水供給による浸透能低下はミズナラ林の方が相対的に大きく回復も遅かった。今後,低下した浸透能の回復にどのような要因が影響するのかを研究することも必要と考えられる。
  • 大塚 生美
    原稿種別: 報文
    2020 年 25 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル フリー
    本稿は,大規模加工工場の林立著しい青森県,秋田県,岩手県の北東北地域の素材流通過程を担う事業体を対象として,その取扱量拡大の内実に接近する。対象とした事業体は,青森県森林組合連合会,秋田県森林組合連合会,岩手県森林組合連合会の 3県の県森連,ならびにノースジャパン素材流通協同組合 (以下,NJ 素流協) になる。まず,これら事業体躍進の契機となった合板工場の国産材へのシフトの様子を概観した。外材依存から国産材にシフトする上での合板工場の課題は大きく 3つであった。一つ目は,30cmの剥き芯の問題,二つ目は,国産材による製品性能の問題,三つ目は,国産材の大ロット原木入荷問題であった。一つ目と二つ目の課題は,合板工場内部の問題であったが,三つ目の課題は,入荷先となる外部との問題であったため,新たな関係構築が求められた。その入荷先の窓口を担ったのが,素材流通過程を担った事業体であった。そこで,本稿では,事業体としての設立が最も新しいNJ素流協が如何に事業量を拡大したかを明らかにした上で,3県の県森連の特徴にふれる。結果,本稿でみた 4つの素材流通過程を担う事業体の経営は,異なる資源状況,木材加工工場の立地などを背景に独自の戦略を有するとともに,共通して組合員の育成にも力をいれていることが明らかになった。
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