東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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最新号
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論文
  • 熊谷 南望, 斎藤 昌幸
    原稿種別: 論文
    2022 年 27 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,調査事例の少ない東北地方日本海側の冷温帯林に生息するタヌキの食性とその季節変化を糞分析により明らかにした。2018年12月から2019年11月にかけて,山形県庄内地方の高館山周辺における20箇所のタメフン場から合計126個の糞サンプルを採取した。採取した糞の内容物から,各餌項目の出現頻度および相対出現頻度を算出した。また,食物構成と食性のニッチ幅の季節変化を調べるために,主座標分析 (Principal coordinate analysis; PCoA) と食性幅の算出をおこなった。糞分析の結果,昆虫類,種子,果肉が年間を通して多く出現した。出現した果実の主要種は,サルナシ (Actinidia arguta),オオウラジロノキ (Malus tchonoskii),アオハダ (Ilex macropoda),ケンポナシ (Hovenia dulcis) で,それらの利用頻度は季節によって異なっていた。哺乳類や鳥類,甲殻類,ミミズ類は,季節によって利用状況が異なっていた。PCoAと食性幅の結果から,季節変化にともなう食物構成の変化は冬から春への変化が最も大きく,その際に食物構成が多様化することが示された。これらの結果は,先行研究と概ね一致していた。本調査地に生息するタヌキは,他地域と同様に,生息環境下で入手可能な食物を状況に応じて利用していることを示している。
報文
  • 渡部 凌我, 斎藤 昌幸
    原稿種別: 報文
    2022 年 27 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/04/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,カメラトラップを用いて山形県庄内地方における外来哺乳類ハクビシンの日周活動を明らかにした。2019年から2021年にかけて,山形県鶴岡市に位置する山形大学農学部附属上名川演習林周辺ならびに西荒屋周辺の林道沿いに計24台のセンサーカメラを設置し,ハクビシンの活動時間データを取得した。それぞれの地域で季節ごとにカーネル密度推定に基づく日周活動の推定をおこなった結果,いずれの地域および季節においてもハクビシンは顕著な夜行型であることが示された。ハクビシンの日周活動が一年を通して夜行型であり,ふたつの異なる調査地においても同様な活動パターンを示したことから,本研究の結果は,ある程度一般性のあるハクビシンの日周活動を示したと考えられる。
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