2000 年 5 巻 1 号 p. 17-21
アカマツ-コナラ二次林の林分構造を尾根部と谷部で比較した。林分本数密度および林分胸高断面積合計は尾根部で高く,谷部で低かった。林分収穫表から尾根部は地位II等,谷部は地位I等と判定された。出現種数は尾根部でわずかに多いものの,構成樹種の生活形組成に違いがみられ,尾根部での出現種数の多さは低木種の多さを反映していた。アカマツ-コナラ林における各樹種の優占度と地形との関連性は,他の森林タイプの場合とほぼ一致した。アカマツは尾根部および傾斜の緩やかな谷の下部に集中的に分布しており,地表の攪乱体制の違いがアカマツ実生の定着に影響する可能性が考えられた。また,谷部における高木性広葉樹の樹高階別本数分布の山は尾根部におけるそれよりも高かった。これは,谷部ではアカマツ優占度の低い場所で高木性広葉樹が旺盛に成長することで,尾根部よりも相対的に多くの個体が林冠層に到達したためと考えられた。