2021 年 13 巻 2 号 p. 102-114
本論文では,感染症の簡便な数理モデルの一つであるSIRモデルの微分方程式において,感染率を時間制御することにより,総感染者数を如何に抑制可能か,数値シミュレーションにより検討する.具体的には,感染抑制対策等の外部要因の介入により実質的に変動すると考えられる感染率パラメータの時間制御を行い,総感染者数を最小とする最適な対策開始タイミングを求め,基本再生産数,実効再生産数や感染対策期間長との関係を調べる.本研究のシミュレーションの結果,とりわけ基本再生産数の大きな強い感染力のウイルスの感染の場合,感染率を制御するタイミングが極めて重要であり,総感染者数に大きく影響することが示された.