日本シミュレーション学会論文誌
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JSST2023 学生セッション特集
巻頭言
論文
  • 米森 龍之輔, 水口 朋子, 長谷川 健
    2024 年 16 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/06
    ジャーナル フリー

    フッ素化アルキル基を含む物質(PFAS)は,撥水・撥油性などの特異な物性を示し,世界中で様々な材料に使用されているが,その物性発現機構は長年不明なままであった.近年になって,PFASの物性を統一的に説明するために,階層双極子アレーモデルが提案された.このモデルによれば,フッ素化アルキル鎖の集合構造は鎖長によって異なり,PFASの特異な性質を理解する鍵となる.本研究では,全フッ素化アルキル鎖CF3(CF2)mCF3の単分子膜に対して分子動力学シミュレーションを実行し,分子の集合構造と鎖長の関係を調べた.その結果,m = 5, 6の系では分子は無秩序な配置で液体のような挙動を示すのに対し,m ≥ 8の系では分子が2次元ヘキサゴナル構造に配列し,固体のような挙動を示した.m = 7の系は,これら2つのグループの中間的な振る舞いを示した.今回の結果は,PFASの特性を理解する上で,鎖長の違いを考慮することが重要であると示唆している.

通常論文
論文
  • 中川 匡弘
    2024 年 16 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/17
    ジャーナル フリー

    本論文では,感染症の簡便な数理モデルの一つであるSIRモデルをSNS上での情報拡散に拡張したirSNSモデルを用いて,情報拡散モデルの解析解を求めると共に,基本的な性質について検証する.具体的には,irSIRモデルに関する陰的な表記である積分方程式を求め,情報拡散率に係るパラメータに対する情報拡散の様態の変化を調べる.また,最終規模方程式の解とアクティブユーザーの極大値について,情報拡散率に関する依存性を調べる.さらに,アクティブユーザーの極大値の情報拡散率に対する比から情報拡散効率を定義し,その情報拡散率に対する依存性を調べ,最適な情報拡散率の存在を示す.引き続き,潜在的非ユーザー(非ユーザー)の規模の初期値に対するそれぞれの非ユーザーとノンアクティブユーザーの最終値の依存性について議論し,より効率的な情報拡散の条件について議論する.また,競合するSNSの出現等の外部要因により情報拡散率が一時低下した場合について,実測データとの比較を交えながらシミュレートする.

  • 中川 匡弘
    2024 年 16 巻 1 号 p. 10-23
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/05
    ジャーナル フリー

    本研究では,離散時間大域結合カオスモデルに着目し,カオス同期を利用した外部・フィードバック制御を必要としない秘匿通信モデルを提案する.具体的には,テント写像を用いた大域結合系において,その系のリアプノフスペクトルの解析結果から,カオス同期条件を求める.さらに,本提案同期モデルの応用例として,カオスマスキング方式による秘匿通信モデルを提案し,最小規模となる自由度N = 2の場合について,数値シミュレーションによりその基本特性を議論する.

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