Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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ヘモグロビン濃度およびヘマトクリット値の季節的変動
錬石 昇太郎福島 和子LEONARD A. SAGAN
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1973 年 1 巻 1 号 p. 39-50

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抄録

ヘモグロビン濃度ならびにヘマトクリット値が季節的に変動するという観察は一般には容認されていないが, 日本で行なわれた研究はこれを肯定している。
ここに報告するものは, 広島市および長崎市における成人健康調査対象者について1958-63年の5年間に収集した29,482件の血液標本からヘモグロビン濃度ならびにヘマトクリット値の月別平均値を求め解析した成績である。これらの値が季節的に変動することが明確に認められた。ヘモグービン濃度もヘマトクリット値も, 気温および湿度に対して明らかな負の相関を示した。
調査対象を性, 年齢および相対的体重値別に分類すると, 高年齢層は若年齢層に比べ, また, 肥満群は軽体重群に比べ, 季節的変動の幅が大きいことが認められた。季節的変動の幅は, 検査で高値を示す群では小さく, 低値を示す群では逆に大きいことが特徴的であった。その両極端は, 男子における40歳未満の軽体重群と40歳以上の肥満群とに認められた。

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