Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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ビオチン・アベジン酵素抗体法による狂犬病ウイルスの中和抗体測定感度とワクチン接種者の血清抗体価の測定について
七條 明久三舟 求真人坂本 国昭山田 昭
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1983 年 11 巻 3-4 号 p. 217-224

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抄録

ビオチン・アベジン酵素抗体法 (BAP) 法によって, 迅速な狂犬病ウイルスの感染価の測定, 及び中和抗体測定が可能であることは, 先に報告した。今回, BAP法による中和抗体測定の検出感度を, 従来から用いられてきたマウスを使用する方法, 及び迅速螢光フォーカス形成抑制法 (RFFIT) による測定法とで比較した結果, BAP法は抗体検出感度の点で, 最もすぐれていることが判明した。次いで, この方法により多数の狂犬病ワクチン接種者の血中の中和抗体を測定した結果, 中和抗体価の推移を鋭敏に測定することが可能であった。BAP法は, このような結果に加えて, RFFITと異なり, 染色標本は非常に安定であり, 長期の保存に耐えること, 螢光顕微鏡を要せず, 通常の顕微鏡で観察可能なこと等, 多くの利点があり, 多数の検体処理を必要とする血清疫学的研究に有用な方法であると思われる。

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