Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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アシマダラヌマカの幼虫期および蛹期の呼吸管と呼吸角についての考察
岩城 操
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1984 年 12 巻 1 号 p. 33-38

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抄録
熱帯性ヌマカの幼虫および蛹は, 水生植物の根や茎に呼吸管または呼吸角をさし込み酸素を吸収して生活すると考えられているが, 実験室内でヌマカ (アシマダラヌマカ) を飼育して, 孵化直後の幼虫から蛹までの呼吸管および呼吸角の形態と水中における呼吸法を詳細に観察した結果, つぎのような知見が得られた。
1) 1令幼虫の呼吸管は, 細長い管状で, その先端に体を水中植物などに固定するための爪と非常に薄い膜の鯉状組織を持っている。
2) 2令から4令までの幼虫の呼吸管は, 令の進行にしたがって巾広い扁平な三角形に変化する。また, 呼吸管先端には, 体を固定するための爪と1令幼虫のときと同様の鯉状組織がみられた。
3) 蛹の呼吸角先端部を包むように, ネット状の袋型を呈した鯉状組織のあることを多数の個体を調べることによって観察した。
4) 幼虫および蛹の体内を循環する血液は, 血液を送り出すポンプから, 薄い膜の鯉状組織内を通過し, 水中の溶存酸素を吸収するものと考えられる。
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© 日本熱帯医学会
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