Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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Gomori's methenamine silver nitrate染色を行った塗抹標本におけるPneumnocystis carinii嚢子のいわゆる括弧状構造物の光学顕微鏡的観察
塩田 恒三
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1987 年 15 巻 4 号 p. 269-273

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抄録
Gomori's methenamine silver nitrate染色でPneumocystis cariniiの嚢子に特異的に認められる, いわゆる括弧状構造物の形態をより明らかにするために, ヒトの気管支肺胞洗浄液と剖検肺の塗抹標本を光顕的に調べた。適度に染めた個体では括弧状構造物は嚢子壁よりも明瞭に染まり, 嚢子100個を調べて嚢子の大きさは4.0~6.8×3.0~5.2μmで本構造物の大きさは1.6~2.2×0.8~1.8μmの範囲であった。一般に本構造物の内部は外部よりも淡く染まった。本構造物の側面像は嚢子壁の内部への肥厚部として観察された。2つ以上の本構造物を有する個体は認めなかった。一方, 本構造物を有さない嚢子は660個中37.3%に認め, 嚢子壁が染め出されずに本構造物のみが染まった個体も少数認められた。患者の喀痰などを用い診断する場合, 真菌との鑑別が重要となるが, この括弧状構造物を見出せば自信をもってP.cariniiと言うことができる。
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