Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
Online ISSN : 2186-1811
Print ISSN : 0304-2146
ISSN-L : 0304-2146
大分のブユ成虫における動物寄生性オンコセルカ3種幼虫の感染について
高岡 宏行ODILE BAIN
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 18 巻 1 号 p. 1-10

詳細
抄録
大分市で見いだされた動物寄生性オンコセルカの人体寄生症例の起因種, および媒介ブユ種を追究する目的で, 人体への感染が起きたと思われる地区周辺の牛舎においてブユの採集を行い, フィラリア幼虫の感染を調べた。採集されたブユ8種のうち, キアシツメトゲブユS. bidentatumが優先種で, ヒメアシマダラブユS. amkawaeが次に多かった。フィラリアの自然感染は, 調べた5牛舎のうち3牛舎で採集されたブユに認められた。フィラリアの種を確かめるため, 1牛舎で採集したブユを6-9日間飼育した後, 第3期幼虫を回収し, 形態学的な検討を行った。その結果, 牛のオンコセルカとして知られているO. gutturosaおよびO. lienalisと思われる幼虫が, それぞれキアシツメトゲブユおよびヒメアシマダラブユより見いだされた。さらに, 未記録種と思われる第3の幼虫が, 上記2ブユ種とアオキツメトゲブユS. aokiisに感染していることが分かった。既に報告した, 人囮法によって採集したブユのフィラリア感染の結果と合わせて, 0.gutturosaと思われる種と未記録種の2種のオンコセルカが, キアシツメトゲブユによって人へ感染する可能性が示唆された。
著者関連情報
© 日本熱帯医学会
次の記事
feedback
Top