Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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フィラリア感染好適宿主としてのMongolian gerbil-被毛色突然変異体の成長と繁殖に関する比較および被毛色の遺伝様式について
清水 眞澄七戸 和博月舘 説子藤田 紘一郎
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1990 年 18 巻 4 号 p. 301-310

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抄録
Mongolian gerbil (スナネズミ) の被毛色突然変異体 (white spotted-agouti, albino, black およびwhite spotted-black type) について, 成長と繁殖に関してagouti typeと比較した。しかし, 被毛色間に有意差は見られなかった。出生時体重は3.09, 性成熟後の3カ月齢では各被毛色共, 雄は約609雌は約529であった。体重の明らかな性差は, 生後6週齢から出現した。平均産仔数は4.2から4.8匹, 産仔の性比は, 雌が雄よりやや多い傾向にあった。分娩間隔の変動は非常に大きく, 25~30日のものが全分娩の20%前後, 半数以上が31~40日であったが, 51日以上のものも20%近くを占めた。このばらつきの原因としては, 後分娩発情があること, その際着床遅延が起こること, 性周期が不規則であること, および卵巣水腫の発生頻度が高いことなどが考えられた。また, 被毛色の遺伝様式についても検討を行った。ラットやマウスと同様の被毛色を制御する遺伝子が, gerbilにも存在することが明らかにされ, albinoおよびblack typeの被毛色は, 常染色体性劣性遺伝子によって支配されていることが示唆された。
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