抄録
Leishmania pammensis promastigote型原虫から作成した種々皮内反応用抗原の効果を30人の皮膚型リーシュマニア症患者で判定した。原虫ホモジネートの10,000×g遠心上清を粗抗原 (CA) とし, 更にSephacryl S-200ゲルを用いて4画分 (FA-1からFA-4) を得た。CA (10μgタンパク量/テスト) による皮内反応の陽性率, および硬結径はMontenegro抗原 (MA;5×106原虫/テスト) でのそれらと比較して優位差がなかった。更に, 10μgタンパク量のCAによって誘発される遅延型皮内反応の反応の強さは, 同抗原液を25μgタンパク量で用いた場合と同等であった。分画抗原 (FA-4は7.5μgタンパク量, 他は10μgタンパク量) での皮内反応陽性率はFA-1が90.0%, FA-2が77.8%, FA-3が75.0%, FA-4が37.5%であった。これら4抗原のうち, FA-4は陽性率および反応の強さの両面で, 又FA-3は反応の強さの点でCAやMAでのそれらと比較して著しく劣っていることが判明した。以上の結果から, L.pmamensis原虫から作成した皮内反応用抗原のうち, 10μgタンパク量のCAおよび同タンパク量のFA-1, FA-2分画抗原が新大陸での皮膚型リーシュマニア症の診断に適していることが結論づけられた。更に, これらの抗原液を構成しているタンパク質のうち, 少なくとも66, 55, 45, 28, 26kDタンパクの全て, 又は一部が新大陸での皮膚リーシュマニア症の遅延型皮内反応惹起に関与している可能性が示唆された。