抄録
蛇毒のphospholipase Aが卵黄を透明化させる性質を利用して'同酵素の活性測定法について実験を試みた。実験は卵黄の抽出溶媒, pH, イオン強度および酵素濃度等について試み, その結果市販新鮮卵黄を0.1Mリン酸緩衝液 (pH 7.0) で5倍稀釈後, 不溶物を遠心除去したものを保存液とする。測定はこの保存液を蒸留水で100倍稀釈し10-4 MになるようにCa++を加え, 同溶液3mlあたり1-10μlの酵素溶液を加え, 510 mμの吸光度減少を測定し, 全濁度減少量の1/2に達する時間 (秒) の逆数が酵素量と直線関係にあることが明らかになった。
また卵黄中のリポプロテインについて同酵素の処理を受けたものと, 受けないものにっいてゲル浜過を行ったが何ら差違は認められず, 同酵素は卵黄中のリポプロテインのリン脂質部分にのみ作用し'リポプロテイン間には影響をおよぼさないものと考えられる。