2019 年 23 巻 1 号 p. 74-82
外来化学療法を受ける高齢がん患者が訪問看護を導入する意義を明らかにするため,外来看護師13 人,訪問看護師10 人へ個別に半構造化面接を行い,得られた逐語録の質的内容分析を行った.高齢がん患者が訪問看護を導入する意義は,「初回の外来化学療法を開始するまでの時期」では【病院だけでなく地域でも支援を受ける体制ができる】,「外来化学療法を継続する時期」では【症状悪化の予防や対処行動の相談が自宅でも可能になり,治療と生活を継続しやすくなる】【家族が困難に対処しながら生活を継続していけるような支援を受けることができる】など,「外来化学療法の継続が困難になる時期」では【自身が決断した最期のすごし方に向けた準備ができる】【自身を看取る家族への支援を受けることができる】などであった.高齢がん患者の訪問看護導入は,高齢がん患者が自ら治療や療養場所を決断できることや家族に対するグリーフケアに資する.