抄録
海抜1500m-1800mに住んでいるパプアニューギニア高地人の成人男子11名と西宮市在住の日本人成人男子11名について, 身体計測と運動中の発汗反応の測定を行った。パプアニューギニア人の測定は8月に, 日本人の測定は9月に行った。発汗反応の測定は25℃の室内で午後3時より開始した。仕事量45okg・m/minの自転車労作計を用いたペダル踏み運動を20分間行わせ, 背部の局所発汗速度と汗のNa濃度を発汗カプセル源紙法で測定した。パプアニューギニア高地人は日本人と比較して, 身長が低く, 体重は軽く, 皮下脂肪厚が薄く, 体脂肪含有量が少なかった。これらの差はいずれも統計学的に有意であった。パプアニューギニア高地人のローレル指数および比胸囲は日本人のそれらより有意に大きかった。パプアニューギニア高地人の局所発汗速度は日本人のそれより可なり低く, 又前者の汗のNa濃度は日本人のそれより有意に低かった。パプアニューギニア高地人の身体的特徴および彼等の発汗反応が日本人のそれと異なっているのは, 彼等が日本人より高温環境によく馴化したことによると思われる。