Toyama Medical Journal
Online ISSN : 2758-6014
Print ISSN : 2189-2466
原著
マウス肝臓星細胞の活性化における血小板由来増殖因子ベータ受容体の役割
森田 誠市尾矢 剛石井 陽子サビット ヘムラグル徳永 綾乃石澤 伸山本 誠士濱島 丈倉茂 洋一松島 貴子塚田 一博笹原 正清
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2017 年 27 巻 1 号 p. 14-22

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抄録
 血小板由来増殖因子(PDGF)は肝臓の線維症を誘導する肝星細胞(HSC)を活性化する。本研究ではHSCにおけるPDGFベータ受容体(PDGFR-ß)の発現を抑制し,その機能を評価した。野生型とLoxP配列を挿入したPDGFR-ß遺伝子をそれぞれ有するマウスからHSCを分離培養した。双方の細胞にCre遺伝子組み換え酵素を発現するアデノウイルスを感染させ,後者の細胞のPDGFR-ß遺伝子を不活化した(=PDGFR-ßΔ/Δ)。PDGFR-α,PDGF-A,-B,-Cおよび-Dのいずれもが,両細胞で同程度に発現した。野生型に比較し,PDGFR-ßΔ/Δ細胞の増殖活性は低く,α1(I)コラーゲンの産生と創傷治癒能力も低下した。PDGFR-ßはHSCにおけるPDGFのパラクラインおよびオートクラインを介するシグナルを伝達し,肝臓線維症にかかわるHSCの機能を活性化した。
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© 2016 富山大学医学会
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