東海作物研究
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原著論文
効果的に幼穂発育を遅延させる麦踏みの方法と土壌水分条件
水本 晃那中園 江吉田 ひろえ渡邊 和洋内野 彰東 哲司
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2024 年 153 巻 p. 1-10

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抄録
春播型コムギを早播きする場合,茎立ちが早まり早春の凍霜害に遭遇するリスクが高まるため,茎立ち期を遅らせる必要がある.麦踏みには幼穂発育遅延効果があり,麦踏みによって茎立ち期を遅延させることで,凍霜害リスクを軽減できると考えられている.そこで本研究では,麦踏みによって効果的に幼穂発育を遅延させる条件を明らかにするため,2種類の鎮圧機の幼穂発育遅延効果を検証するとともに,麦踏み前後に採取した土壌データと幼穂発育の関係を解析した.その結果,いずれの鎮圧機でも幼穂発育遅延効果が見られ,麦踏み前の土壌体積含水率と茎立ち期遅延程度には高い負の相関関係があり,過湿条件での麦踏みは幼穂発育をむしろ促進する場合があることがわかった.本試験を行った圃場(表層土の土壌体積含水率が圃場容水量約50%,塑性限界約34%,永久しおれ点約20%の水田転換畑圃場)において麦踏みによる幼穂発育遅延効果を得るためには,少なくとも踏圧前の土壌体積含水率27%以下であることが必要であった.
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© 2024 日本作物学会東海談話会
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