2007 年 15 巻 p. 76-86
小学1年生42名を対象に、はじめての掃除活動への取り組みが、「こころの知性1)」の構成要素のうち、どの要素に影響を及ぼすのかについてKJ法、学習カードによる分析、行動観察により検討することを目的とした。その結果、掃除を経験した子どもたちは、その後も給食時やお弁当時に雑巾を自主的に用いたり、自分の近くのごみを拾ってごみ箱に捨てたりなど、行動や様子の変化が見られた。掃除活動への取り組みにより、「こころの知性」を構成する要素「自分と他者についての認識」「自分と他者の肯定」「自己責任の習得」「個人的意義の発見」「誠実さと道徳観の尊重」といった5つの要素すべてに影響がみとめられ、特に構成要素の導入部分に有効であることが示唆された。また、「こころの知性」の構成要素は、それぞれが単独に構成されるのではなく、統合的に構成されることが示唆され、「こころの知性」の学習を核とした単元と「こころの知性」の統合を目指したカリキュラムの導入が、道徳や特別活動においても期待される。