抄録
聴覚障害児のカテゴリーに関する知識を拡大することを目的として、事物の特徴を抽出する時に、問いかけの「ことば」を手がかりとさせるという指導方法を考案した。問いかけの「ことば」は、問いの受け手が事物の特徴を抽出する際に、そのカテゴリーを方向づける役割を持ち、この「ことば」の理解が、聴覚障害児にカテゴリーに関する知識を獲得させるために役立つと考えた。ろう学校小学部6年生4名を対象に実際に指導を行い、その結果から、問いかけの「ことば」の理解と指導方法を考察した。理解は(1)問いかけの「ことば」に関わらないカテゴリー化、(2)問いかけの「ことば」以外の手がかりを利用したカテゴリー化、(3)問いかけの「ことば」間の識別、(4)各問いかけの「ことば」が指示するカテゴリーの形成という過程を持つと考えた。指導方法もこの過程に即して進めるべきであると考え、その具体的手続と教材を示した。