特殊教育学研究
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最新号
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原著
  • 伊藤 佳奈子, 勝二 博亮, 田原 敬
    原稿種別: 原著
    2020 年 58 巻 2 号 p. 73-84
    発行日: 2020/08/31
    公開日: 2021/04/21
    ジャーナル フリー

    本研究では、就学前に協調運動の困難さへの気づきを促すためのチェックリストの開発を 目的として、年長幼児の保護者96名を対象に質問紙調査を行った。さらに、手先の器用さをアセスメントできるPWT描線テスト(尾崎, 2018)を年長幼児27名に実施し、協調運動の困難さと描線能力との関連を検証した。因子分析の結果、「粗大運動因子」「微細・協調運動因子」からなる2因子17項目が抽出され、いずれも十分な内部一貫性が認められた。PWT描線テストでは、描線能力の困難さが推定された幼児において、質問紙の総合得点と微細・協調運動因子の得点がいずれも5 パーセンタイル値を下回っていた。さらに、PWT描線テスト実施中の描線軌跡をデジタルペンで記録したところ、線引き課題で顕著な速度上昇が認められた。これらの結果から、運筆コントロールが十分でなく運筆操作が困難な子どもを、チェックリストにより抽出できる可能性が示唆された。

資料
実践研究
  • 青木 康彦, 野呂 文行
    原稿種別: 実践研究
    2020 年 58 巻 2 号 p. 97-106
    発行日: 2020/08/31
    公開日: 2021/04/21
    ジャーナル フリー

    本研究では、重度知的障害のあるASD児を対象に、要求場面、反応型共同注意場面のそれぞれの場面ごとに適切な強化子を使用した視線移動を指導し、その効果を検討した。要求場面の視線移動の指導では、プロンプト、プロンプト・フェイディング、分化強化を使用し、反応型共同注意場面の視線移動の指導では、プロンプト、プロンプト・フェイディング、ペアリングを使用した。その結果、要求場面における視線移動は指導により生起率が上昇し、また、異なる支援者、要求物においても高い生起率がみられ、2か月後、6か月後のフォローアップ期でも生起率は維持した。しかし、反応型共同注意場面における視線移動 では、介入期の効果が認められなかった。そこで、セッティング、プロンプト、強化子を変更し、介入2期を行ったところ、生起率が上昇し、プローブ2期においても生起率は維持した。考察では、効果を示さない指導手続きの変更、場面に適切な強化子の使用について論じられた。

  • 青木 康彦, 龔 麗媛, 馬場 千歳, 野呂 文行
    原稿種別: 実践研究
    2020 年 58 巻 2 号 p. 107-116
    発行日: 2020/08/31
    公開日: 2021/04/21
    ジャーナル フリー

    本研究では、自閉スペクトラムのある幼児に対し、大学における教育相談でのPECS指導の実施の効果を検討し、さらに、生態学的アセスメントを実施し、きょうだい児がおり多忙な母親でも家庭で負担なく実践できるPECSの指導プログラムの作成を検討した。その結果、生態学的アセスメントにより、母親が無理なく指導することのできる生活場面、時間帯、頻度を特定し、家庭でのPECS指導の計画を作成した。大学での指導により、参加幼児はPECSのフェイズⅢまでを習得した。また、家庭での指導では、大学でのPECS指導の進捗を踏まえ、母親の負担が少ない指導プログラムを実施したところ、約8か月間指導を継続することができており、フェイズⅢまで参加幼児は正反応を示すことができた。考察では、家庭へのPECS指導の導入と生態学的アセスメントについて、家庭における要求物、要求手段、コミュニケーションパートナーの拡大について論じられた。

  • 寺島 ひかり, 八島 猛, 奥村 太一, 佐藤 将朗, 藤村 励子
    原稿種別: 実践研究
    2020 年 58 巻 2 号 p. 117-126
    発行日: 2020/08/31
    公開日: 2021/04/21
    ジャーナル フリー

    本研究では、授業場面における教師の働きかけと対象者の身体的な運動および生理的反応との関連について検討するために、重篤な脳機能障害を有し、コミュニケーションに顕著な困難を有する超重症児を対象として、日頃の授業で行われている指導内容を感覚系の観点から分類して対象者に適用し、各指導内容に対する対象者の身体的な運動と心拍反応の量的差異を分析した。その結果、各種感覚系に対する働きかけが、対象者の身体的な運動と心拍反応に顕著な変化を生じさせることが明らかとなった。このことは、対象者が、各種感覚系に対する単一の、または複合的な働きかけを弁別的に認知している可能性を示唆するものであった。また、指導内容の継続が対象者の感覚受容の状態を変化させる可能性が示された。

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