特殊教育学研究
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最新号
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資料
  • 吉田 光伸, 池田 彩乃, 阿部 晃久, 佐島 毅
    原稿種別: 資料
    2021 年 59 巻 3 号 p. 147-156
    発行日: 2021/11/30
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー

    肢体不自由特別支援学校に在籍する重度・重複障害児は、運動や感覚・認知発達の遅れから、手指の運動機能の向上に困難がある。本研究では、4名の重度・重複障害児を対象に、固有覚フィードバックの条件を変えた教材を用いることが手指運動の方向付けと調整にどのような効果を与えるかについて検討した。対象児が条件の異なる円柱を抜く課題や物を引く課題に取り組み、出現した動作を分析した結果、上肢の動作や指の動きがいくつかに分類された。それらは条件の違いによって有意差がみられ、上肢の動作の方向付け、指の動きの調整などに影響を与えていることが示唆された。固有覚フィードバックの明確な条件では力を入れやすい動作が増えており、手指運動の指導に有用な方法のひとつと考えられる。これは重度・重複障害児の自立活動の指導の根拠につながるものである。今後、本研究の知見により他の事例にも同様の効果が見いだせるかについて、確認する必要がある。

実践研究
  • 細谷 一博, 宮野 希, 米田 真緒
    原稿種別: 実践研究
    2021 年 59 巻 3 号 p. 157-167
    発行日: 2021/11/30
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー

    本研究では小学校知的障害特別支援学級に在籍する4年生1名を対象に、自ら決定した交流活動の内容と方法を積極的に実現し、通常学級児童を特別支援学級に招く「招待交流」を実施した。本研究の目的は、特別支援学級児童の様子から、招待交流実施の可能性と課題について検討することである。その結果、対象とした児童の様子から、招待交流を中断する必要性はみられなかった。また、実施した招待交流の中で対象児童は自らの感情を表現することができるようになり、対象児童にとって質の高い「交流及び共同学習」の一形態になっていることが示唆された。このような成果から、自ら活動内容や方法を決めることができ、さらに、特別支援学級で実施できる招待交流は、有効であると考えられた。また、特別支援学級児童にとって、「交流及び共同学習」の事前・事後指導を行うことで、活動への目標や意欲を喚起できることが明らかとなった。

  • 堂山 亞希, 原田 薫, 宇佐美 太郎, 髙津 梓
    原稿種別: 実践研究
    2021 年 59 巻 3 号 p. 169-178
    発行日: 2021/11/30
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー

    本研究は、思春期の発達課題に直面した軽度知的障害のある生徒の一状態像を明らかにし、メンタルヘルス上の問題やその支援について検討した。対象は、知的障害特別支援学校に在籍する女子生徒であり、中学部2年時から高等部2年時までのおよそ3年間にわたる支援実践を3期に分けて記述した。当該生徒であるAさんは、支援開始当初は他者への加害不安を主訴としていたが、支援の経過の中で、友人との仲間関係の形成や自己像の再構築といった思春期の発達課題に直面し、葛藤を抱えていることが明らかになり、教員とスクールカウンセラーの連携のもと、相談支援や自己表現の援助、クラスメイトとの関係調整、具体的な気分転換の方法の提案などの包括的な支援が行われた。支援の結果、加害不安が解消されただけでなく、Aさんの率直な自己表現行動の増加、クラスメイトとの関係性の改善などがみられ、多職種連携による包括的な支援の有効性が示唆された。

  • 内海 友加利, 安藤 隆男
    原稿種別: 実践研究
    2021 年 59 巻 3 号 p. 179-190
    発行日: 2021/11/30
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー

    本研究は、肢体不自由特別支援学校の自立活動の指導における個別の指導計画作成に関する校内研修プログラムを作成、実施し、研修プログラム構想の視点と手続きに関する有効性について検討することを目的とした。視点として、①個別の指導計画作成の各段階に応じて研修を複数回実施すること、②実習形式であること、③学級担任を中心とした教師グループの協働であること、に依拠した。手続きは安藤(2001)を参考にした。参加教師に対する質問紙調査および面接調査から、有効性として ①実態把握から目標設定までの各段階を積み上げることにより実態把握の視点や手続きを学ぶことができたこと、②担当する児童生徒の理解が深まり授業に生かすことができたこと、③複数教師による多角的な視点で実態把握を行えたことが指摘された。今後は、課題として指摘された時間的負担感の改善を行うとともに、授業の実施、評価・改善までの一連のプロセスを通した議論が求められる。

  • 半田 健, 野呂 文行
    原稿種別: 実践研究
    2021 年 59 巻 3 号 p. 191-202
    発行日: 2021/11/30
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー

    本研究は、自閉スペクトラム症(ASD)のある児童を対象に、社会的スキルの欠如タイプに応じた指導が及ぼす効果を検証した。研究計画は、場面間マルチベースラインデザインを用いた。場面は、小学校の特別支援学級と通常の学級であった。対象児は、ASDと診断された4年生の児童2名であった。指導は、特別支援学級での社会的スキル訓練(SST)と通常の学級でのセルフモニタリングであった。評価指標は、通常の学級で教師の話に対して、頭を上げて話を聞く行動と文房具などで手遊びをする行動の生起率とした。結果は、欠如タイプが獲得欠如の対象児に対しては、特別支援学級でのSSTが標的行動に改善をもたらした。 一方、欠如タイプが遂行欠如の対象児に対しては、通常の学級でのセルフモニタリングが標的行動に改善をもたらした。結論として、ASD児の社会的スキルの問題に対して、欠如タイプに応じた指導の有効性が示唆された。

  • 田中 善大
    原稿種別: 実践研究
    2021 年 59 巻 3 号 p. 203-216
    発行日: 2021/11/30
    公開日: 2022/06/22
    ジャーナル フリー

    特別支援学校中学部における不登校生徒に対する支援体制として、学校規模ポジティブ行動支援のチーム主導型問題解決(TIPS)に基づく事例検討システムを開発し、効果を検討した。ポジティブ行動支援に基づく支援の立案を促進するために、事例検討プロセスに、TIPSに加えて適切行動の共有のプロセスを導入した。システムの効果は、対象生徒の登校状況、事例検討シートの内容、教員への質問紙調査のデータを分析し、検討した。その結果、事例検討の中で立案した支援の多くが実施され、設定した目標の多くが達成され、対象生徒の登校状況も5名中3名で改善がみられた。システムは翌年度も継続され、改善がみられた3名の登校率は翌年度さらに増加した。加えて、多くの教員が事例検討システムを肯定的に評価していた。結果から、本研究で開発した事例検討システムが特別支援学校における不登校生徒に対する支援体制として有効なものであることが示された。

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