特殊教育学研究
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精神遅滞者の文理解過程における2つの段階
松本 敏治古塚 孝
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1994 年 32 巻 2 号 p. 1-9

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抄録
本研究は、精神遅滞児の単文理解と文模倣の関係について調査した。実験1では動作法を用いてSOV文およびOSV文の文理解課題を行い、それらの反応から各被験者の文理解ストラテジーを確定した。実験2の課題は、実験1と同じ刺激文の模倣であった。結果は次のようにまとめられる。(1)文理解において蓋然性ストラテジーを示した被験者のほぼ半数が、文模倣において非文法的な文型を示した。(2)文理解において語順ストラテジーを示した被験者の中には、OSV文の格助詞を入れ換え模倣するものが存在した。(3)文理解において格助詞ストラテジーを示した被験者全員がSOV文およびOSV文をともに正確に模倣した。これらの結果をもとに文理解における文保持の役割と文理解処理の発達的変化が議論された。
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© 1994 日本特殊教育学会
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