付属病院を併設しない看護大学の学生のための高機能シミュレータを使用したシームレス教育の有効性

抄録

本研究の目的は，付属病院を併設しない看護学生を対象にした，高機能シミュレータを使用したシームレス教育の有効性を評価することである。本研究でのシームレス教育とは，臨床と大学が連携して行う高機能シミュレータを用いた看護学生のための能動的な教育戦略である。ファシリテーターは現役の認定看護師である。2019年7月に実施したシームレス教育を受講した83名のレポートの内容分析を行った。結果，「実際の臨床現場を模倣した看護実践の理解」，「臨地実習で経験できない体験」，「卒業後の看護師として働くイメージ」，「座学で学んだ技術や知識の活用」の4つのカテゴリーが抽出された。シームレス教育は，臨地実習での学びに相当する体験につながり，付属病院を併設しない看護大学の学生にとって，臨地実習では得られない看護実践の学びにつながった。さらに，現状の臨地実習での課題を補完する教育方法となる可能性が示唆された。