徳島文理大学研究紀要
Online ISSN : 2432-4248
Print ISSN : 0286-9829
最新号
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  • 釘宮 貴子
    2024 年 107 巻 p. 1-11
    発行日: 2024/03/09
    公開日: 2024/06/28
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ジャポニスムは,19世紀後半から20世紀にかけてフランスを中心に日本の美術工芸に熱狂的な関心が寄せられ西洋の美術に影響を及ぼしたことに始まる。その後,建築,文学,音楽,服飾などに関心が広がり,現在では様々な文化芸術におけるジャポニスムが研究されている。ドイツ・オーストリアではジャポニスムの歌曲が多く作曲されている。日本の開国と近代化にともなってドイツから招聘されたお雇い教師により日本詩歌の翻訳が行われたことがその発端である。翻訳詩は錦絵風の挿絵とともに和紙に印刷され,ドイツ・オーストリアの作曲家に歌曲創作のインスピレーションを与えた。それらのジャポニスムの歌曲は日本の音階や旋律を引用したものではなく,作曲家自身の語法で書かれており,後期ロマン派から近代のドイツリートの様相である。日本詩歌と西洋音楽の融合により生み出された歌曲群は,ドイツ・オーストリアのジャポニスムの音楽の重要なカテゴリーである。

  • 田村 幸子, 宮川 操, 橋本 文子, 喜來 浩子, 平岡 峰子
    2024 年 107 巻 p. 13-18
    発行日: 2024/03/09
    公開日: 2024/06/28
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,新カリキュラムで入学する看護系大学生の精神的健康度とレジリエンスおよび基本属性との関連を明らかにすることを目的とし,1看護系大学の新入生を対象に,Google Formによるアンケート調査を実施した。結果として,UPI総得点とBRS総得点には負の相関がみられたが,UPIの下位項目である「心気的症状」と「強迫傾向」はBRSと相関はみられなかった。基本属性との関連では,「ボランティア活動」は,UPI下位項目の「抑うつ症状」,「劣等感」,BRS下位尺度の「楽観性」,「社交性」,「行動力」と関連があった。「教員に相談できる」は,UPI下位項目の「抑うつ症状」,「劣等感」,BRS下位尺度の「楽観性」,「行動力」,「問題解決志向」,「自己理解」で有意差がみられた。特に「行動力」,「自己理解」は,教員だけで有意差がみられ,教員の関わりが重要であることが示唆された。

  • 藤村 正司
    2024 年 107 巻 p. 19-28
    発行日: 2024/03/09
    公開日: 2024/06/28
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    アカデミアにおけるジェンダー格差問題は,業績主義のなかに残された帰属的地位の問題である。国際比較からみて我が国の大学教員の女性比率が最下位であることは,明らかに不平等である。社会政策として男女共同参画社会や女性学の「エンパワーメント」が,ジェンダー格差問題に取り組んできた。しかし,我が国の労働市場は性役割分業を前提に男性正社員を雇用モデルとしてきたから,スタートラインに立てない女性のハンディキャップは顧みられることはなかった。7,000人の個票データを用いて論文生産性に負の二項分布を適用すると,人文社会科学は別にして自然・生命科学分野では依然として女性ダミーがマイナスの符号条件を持つこと,加えて研究継続困難さの認知度も他の変数を統制してもなお,女性でより高いことが明らかにされる。

  • 藤本 和賀代
    2024 年 107 巻 p. 29-36
    発行日: 2024/03/09
    公開日: 2024/06/28
    研究報告書・技術報告書 フリー

    熱中症による死亡率は80代女性が最も多く,また熱中症の発生場所は圧倒的に住居内が多い。そこで,高齢女性が日常的に着用する衣服で多少なりとも改善できないか検討を行った。

     夏用衣服の選び方としては通気性などの機能面が最重要であるが,女性にとってデザインなど好みも大切な要素である。そのため,機能面と嗜好面の両面から検討をすることにした。機能面では袖の長さなどの異なる4タイプのブラウスを制作して衣服内の温度・湿度を計測し,比較評価を行った。嗜好面では高齢女性を対象に8点の服デザインを提示してアンケート調査を行った。

     機能面では衣服内の湿度が快適性に大きく影響しており,日本など高温多湿の中では袖はより短い方が適している事が分かった。しかし,高齢者がこだわるデザインは,①袖無しを避ける,②襟元は開き過ぎない,③着丈はヒップラインが隠れるなど機能面と嗜好面では相反する結果となった。

  • 山越 明, 島田 俊朗, 勢井 香菜子
    2024 年 107 巻 p. 37-45
    発行日: 2024/03/09
    公開日: 2024/06/28
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    本研究は,保育科2年の「障害児保育」の授業における栽培活動の報告であり,その過程における学生の気付きや感想を通して,栽培活動の教育的効果やその意義を考察するものである。活動は授業の一部を充て,水やり等の作業は学生が分担して空き時間等に行った。はじめは,虫を苦手と感じたり,手が汚れることに抵抗を示したりする学生もいたが,実際に花や野菜を育てることによって,積極的に土や水,植物に触れる姿が見られるようになった。作業と並行して講義では,五感を働かせたり指先や身体を使ったりすることが障害児の保育に意味があることを説明した。授業後の感想文の分析では,栽培活動を楽しいと感じただけでなく,保育とのつながりについても実感を伴う理解に結び付いたことが読み取ることができた。

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