熱中症による死亡率は80代女性が最も多く,また熱中症の発生場所は圧倒的に住居内が多い。そこで,高齢女性が日常的に着用する衣服で多少なりとも改善できないか検討を行った。
夏用衣服の選び方としては通気性などの機能面が最重要であるが,女性にとってデザインなど好みも大切な要素である。そのため,機能面と嗜好面の両面から検討をすることにした。機能面では袖の長さなどの異なる4タイプのブラウスを制作して衣服内の温度・湿度を計測し,比較評価を行った。嗜好面では高齢女性を対象に8点の服デザインを提示してアンケート調査を行った。
機能面では衣服内の湿度が快適性に大きく影響しており,日本など高温多湿の中では袖はより短い方が適している事が分かった。しかし,高齢者がこだわるデザインは,①袖無しを避ける,②襟元は開き過ぎない,③着丈はヒップラインが隠れるなど機能面と嗜好面では相反する結果となった。
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