徳島文理大学研究紀要
Online ISSN : 2432-4248
Print ISSN : 0286-9829
徳島文理大学研究紀要
絵画鑑賞のイメージ喚起力に関する心理学的考察
土中 幸宏
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2021 年 102 巻 p. 67-76

詳細
抄録

人々が美術館,博物館に集うのはなぜか。美術品を鑑賞することの魅力は何なのか。徳島県は大塚国際美術館という日本最大の常設展示スペースを有する陶版名画美術館を有しており,西洋美術史の代表名画の数多くを原寸大の陶板で展示し,毎年,多くの鑑賞者が県内外から訪れている。そうした作品の持つパワーとは何か。絵画を見ることで生じる心理的効果とはどのようなものか。太古から音楽,絵画,舞踏等人々が織り成す芸術・芸能は,鑑賞して楽しむだけではなく,精神の解放あるいは魂の救済に機能してきた側面がある。現代においても,心理療法の枠組みで芸術療法は重要な位置を占めていると言える。本研究では,芸術と心理療法との関わりを歴史に沿って概観した上で,絵画鑑賞が人の思考に及ぼす影響を検証するための調査を実施した。その結果,絵画を媒介にすることで思考内容のイメージが広がり,過去のエピソード記憶の想起が円滑になることが示唆された。

著者関連情報
© 2021 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top