2018 年 95 巻 p. 63-70
子ども虐待の相談件数は2016 年度12 万件と年々増加し,虐待による死亡数も改善しない状況である。行政保健師は,地域内の全妊婦に関わり妊娠届時から長期的視野に立って早期発見・早期対応することが可能な職種である。妊娠届出と母子健康手帳の交付は子育て支援のスタートであり,これらに携わる保健師の支援について今までの研究で明らかになった活動内容を活用して支援の方向性を検討することを目的で文献検討を行った。方法は,保健師が行った妊婦に対する子ども虐待予防や早期対応に関わる子育て支援についてデータベースを用いて検索し,妊娠届出からの支援活動に関する21 文献を検討した。結果は,妊娠届出の時点で要支援家庭であるか否かのふるい分けが可能であり,妊婦の背景を踏まえた早期対応で虐待予防が可能であることが示唆された。今後の課題として,妊娠届出時の情報内容と情報活用法と多機関多職種との細かな連携の必要が示唆された。