糖尿病
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症例報告
膵島所見を観察しえた抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)65抗体低抗体価陽性インスリン非依存期糖尿病
—自検例3例の検討—
栗原 亜子丸山 太郎岩崎 良二鈴木 裕也
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2006 年 49 巻 1 号 p. 47-51

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抄録
GAD抗体は1型糖尿病の指標とされ,その存在は膵島β細胞に対する自己免疫の存在を示すと考えられている.しかし,2型糖尿病の臨床像を示す糖尿病例においても数パーセントの患者にGAD抗体が認められる.このうち高抗体価陽性例はインスリン依存へ進行することが多く,1型糖尿病のインスリン非依存期と考えられるが,低抗体価陽性例はインスリン依存に進行することは稀である.このため低抗体価陽性例を1型糖尿病とすべきかは問題である.今回われわれは低抗体価陽性のNIDDM 3例の膵島病理所見を剖検膵,膵臓癌,胃癌の手術時に観察し得た.いずれの症例も1型糖尿病に見られるような膵島の萎縮や膵島数の著明な減少,明らかな膵島炎は認めなかった.低抗体価のGAD 65抗体陽性の場合は自己免疫による膵島破壊の存在は否定的であると示唆された.
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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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