糖尿病治療管理のために入院した65歳以上の患者を対象に,退院後の糖尿病治療継続のための受診先に関する選好を質的記述的に明らかにすることを目的に質問紙調査を行い検討した.基本属性と選択項目の回答の頻度を記述し,医療者との関係性を尋ねた自由記載の内容は共起ネットワーク分析を通じて質的に解釈した.調査協力を得た対象者24名において選好する受診先の要件は医療者との関係性,次いで通院所要時間,診療待ち時間であった.治療を続けるうえでの医師との関係性については【信頼できる専門性】,【人間同士の交流】,【長期的な保証】があることが,医師以外の医療者については【人柄の親和性】,【情報のつながりが守られる】ことが好ましいとされ,両者には【接しやすさ】が共通していた.本調査で示された高齢患者の選好を考慮し,地域医療連携のもとで糖尿病の治療継続を可能とする受診環境を整える必要がある.