糖尿病
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症例報告
結核性腹膜炎を合併した2型糖尿病の1例
比嘉 眞理子最上 小津江廣井 直樹
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2006 年 49 巻 3 号 p. 209-213

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抄録

症例は64歳の女性.40歳より2型糖尿病にてインスリン療法を受けていたが,血糖コントロールは不良であった.2002年10月初旬より腹部膨満感が出現し,10月20日より38°Cの発熱と著明な腹部膨隆による呼吸困難のため入院となった.腹部CT scanでは多量の腹水貯留を認め,腹水検査ではリンパ球優位の細胞増多とADA, CA 125, IL-2R, ヒアルロン酸の著明な高値がみられたが,結核菌は検出されなかった.確定診断のため施行した腹腔鏡検査では,腸管の著しい癒着と臓側腹膜と肝表面に多数の小結節,クモの巣状の線維性構造物を認めた.腹膜生検よりラングハンス型巨細胞を伴う肉芽腫を認め結核性腹膜炎と診断した.抗結核剤にて発熱は徐々に改善し,治療後30日目に行った腹部超音波検査にて腹水は消失した.糖尿病患者に肺結核の合併は多いが,結核性腹膜炎は全結核患者の0.3%と稀であり貴重な症例と考え報告する.

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© 2006 一般社団法人 日本糖尿病学会
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